ジャイアントペンギンの書庫

保管庫として活用、金色のコルダ3.4の東金千秋と小日向かなでの話しか置いてません·····あとは思いついた事をグダグダ書いてる今日この頃。

巨大な猫を飼い慣らす女の子4

翌日────

「おはようございます小日向さん」

「遅いぞ!小日向!」

「小日向ちゃんどうしたん?顔色悪いよ」

   今日はファイルに向けて、なんの楽曲にするか朝から打ち合わせする予定だった・・・のに小日向は15分遅刻した。

「おはようございます・・・・・・・・・今から弾くと死神が出ます・・・多分、高確率で」

「死神?」

「小日向ちゃん?死神って何?」

「俺は見てみたい・・・リヴァルディ四季の夏とかならいいんじゃないか?弾いてくれたら後でデュオしてやる」

   死んだような目をした小日向が弾き始めた・・・ヴィヴァルディ四季の中の夏は・・・夏の激しい嵐が農作物を荒らすシーンを再現しているらしい。 

   小日向のマエストロフィールドに死神が現れた・・・吹き荒れる風と雨の中、死神が鎌を振るう・・・ちょっとカッコイイかも・・・と東金は楽しく見ていたが後の二人は怯えていた。

「死神!いいじゃないか?曲次第だな!でも死神ってなんか嫌な事あったのか?」

────コンコン

   ビクッ!小日向が飛び跳ねた。

   ガチャと扉を芹沢が開けた・・・のを小日向が扉に飛びつきまた閉めた。

   怯えた目でブンブンと首を振り扉を開けさせまいとする小日向・・・が・・・無情にも力づくで扉が開いた。

   扉が開いた先に立っていたのは大きな花束を持っている冥加だった・・・。

「小日向・・・仮にも彼氏候補NO.1に冷たいな・・・今日はソロファイル一位の報告といつ付き合ってくれるか確認にきた」

「そんな約束はしていません。同率一位だから単独一位でもないのに一位一位うるさいです。それに冥加さんと付き合う事は来世でもあり得ません」

「小日向・・・まさか東金の方が好きなのか?」

「はい。冥加さんよりはずーっと好きです!」

「どこがいい!こんな派手なパフォーマンスだけで女侍らしてるやつなんか!」

「そんな事ないです!意外と遊んでないピュアピュアですもん。冥加さんのが絶対、色々やってます!だいたい10歳の頃と変わらず可愛いとか言われて嬉しくないし!ロリコン!」

「小日向・・・東金の影響だな・・・お前は可愛くて控え目でこんな事言う女じゃないはずだ・・・」

「昔からこんなです!冥加さんが勝手に天使っ思ってるだけでしょ!天使じゃないから嫌いになってください!分かりました?!」

   ハァハァと息せき切る小日向の肩をポンと東金が叩いた。

   目で合図を送る。

「冥加・・・悪いな、昨日のうちに俺は小日向に告白したんだ。昨日から俺は小日向の正式な彼氏だ」

「東金部長・・・」

「ひっ卑怯だぞ!東金・・・」

   東金が小日向をぎゅっと抱きしめた。

「かなで・・・」

   小日向も東金の背中に手を回す。

「東金さん・・・」

   冥加がぶるぶる震え泣きながら走り去った・・・。

「行ったか?」

「大丈夫そうやな・・・千秋、小日向ちゃんといつから付き合ってる事になったん?」

「東金部長ご迷惑またかけてしまって・・・」

「小日向さん・・・ストーカー被害で相談に行かれますか?」

   今朝、マンションから出たところで冥加の気配を感じた小日向はコンシェルジュにタクシーを手配してもらい、タクシーで神南高校に来たらしい。

「もうヤダ・・・」

   机に突っ伏す小日向・・・

「あー彼氏の俺がデュオしてやるから立ち直れ」

「そやな・・・彼氏頑張れ」

「小日向さんの彼氏さんに期待します」

「しばらく彼氏のふりしてもらっても、いつかばれます・・・はぁ・・・」

   落ち込みながらものろのろと立ち上がりヴァイオリンを構える。

「リスト  愛の夢がいいです」

   緩やかな優しい音色が広がる・・・小日向の周りから小さい花が咲く、小さい桜のような花が足元から湧き上がり部室いっぱいに広がっていく優しい愛の夢だ────

「こんな気分の時に花が現れるなんて・・・やっぱり東金部長とのデュオは楽しい・・・」✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱

   小さい身体だったな・・・

   今日の出来事を思い出す。

   華奢で細くて涙目で・・・震えていて・・・可愛い・・・

   いや、あいつはそんなにか弱いタイプじゃない・・・はず。あれだなギャップ萌えってやつだ。気の強い女の子が急に可愛く見える超常現象だ・・・きっと。

   今日の打ち合わせで小日向の気分しだいでマエストロフィールドが変わるのは分かったし・・・技術は申し分ないから後は各自、ファイナルに向けての楽曲を決めようとなって解散した。ファイナルの楽曲はだいたい決まってるしメンバーは暗譜もしてる・・・後は習熟度とマエストロフィールドだな。

   一曲は俺メインで。もう一曲は小日向メインだ。小日向のマエストロフィールドは誰も知らないから神南の秘密兵器みたいなものだ。

   俺が挑発的に聴衆を惹き付けて・・・小日向で綺麗な金色の羽毛で締める?

   俺を派手にして聴衆を驚かせ・・・小日向の黒薔薇で妖しく締める?

   コロコロ変わるマエストロフィールド面白い・・・普段そつなく猫を被ってるから感情面が全てマエストロフィールドに出るのかもな。

 

   小日向はイライラしていた。

冥加のせいだ。

あの人はどうして私を天使扱いするんだろ?

『付き合う付き合わないの前に本当のこいつ見てやれよ!』

   嬉しい・・・誰も見てくれない本当の私。

   見ても認めてくれない本当の私。

   東金部長ははっきり喋る私の方が楽って言ってくれた。

   死神だって面白くて使い方しだいだって・・・初めて負のマエストロフィールドを認めてくれた。

   私も東金部長と話すと凄く楽。

   何も考えずに思った事を話すのって楽・・・でも他の人に正直に話すと嫌われたりするかもしれないから東金部長だけにしよう。土岐副部長は可愛い小日向ちゃんが・・・って悲しそうな顔するし・・・芹沢君は同類みたいだけど物静かだから会話続かないし・・・。

   本当に冥加なんかより東金部長の方がずーっと大好き。

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   ファイナルの曲は序奏とロンド・カプリチオーソとラ・カンパネラの二曲に決めた。

カプリチオーソは俺がしっとりと聞かせてカンパネラは黒薔薇でも金色の羽毛でも大丈夫だと思う。死神と雷以外なら大丈夫だ。

   今朝は朝から調子よく練習が進んだ。小日向は安定しているし問題なく一日が終わった。

   帰り際に小日向が部室の冷蔵庫にいれていた、ほうれん草の胡麻和え、ナスのシギ焼き、う巻き卵を出してきて

「晩御飯の足しにして」

   と渡してきた。

「いいのか?」

「うん。東金部長の食生活不憫すぎるもん。彼女に作ってもらえばいいのに・・・」

「彼女なんていないぜ?」

「えー?モテるくせに嘘ばっかり・・・」

「東金家の千秋がみんな好きだからな。千秋だけ単体だけで好きなやつなんていないさ」

「え?東金部長は家とセット売りなの?ぷっ・・・私、そういうの嫌だから今から親がたくさんくれる小遣い資産運用して株取引でそこそこ儲けてるよ?親から早く独り立ちしたくて」

「そうなのか?俺も株やってる・・・家に利用されたくないからな」

「意外・・・彼女いないんだ、いそうなのに・・・私なんか生意気だし彼氏なんてできないもん・・・」

「彼氏できるだろ?」

「そんなもの好きいないって・・・猫を被ったままなら有り得るかもね・・・」

   紙袋にパック詰めされた惣菜を入れていく。

「そうだ!今度、買いたい銘柄の株について相談に乗って?私まだ初心者だから・・・東金部長の方が確実に儲けてそう」

「お前、贅沢してないのは株に小遣い当ててるからか?」

「将来の投資のが大事じゃない?損はしてないもん」

「親は知ってるのか?」

「未成年だから親の同意いるからね・・・将来の勉強の為って説得したの」

「本当に顔に似合わないな・・・ふわっとして守られてる感じなのに・・・」

「・・・顔なんて老いたらみんなそう変わらないよ?」

「お前、男前だな」

「うん。ありがとう褒められちゃった・・・嬉しいから明日のお昼、お弁当作ってあげる。何食べたい?」

   二人は作り置き惣菜を受け取りながら話している。話す内容は色気も何もないのに相性はいいようだ。

   わりと近くで聞いていた土岐、芹沢は蚊帳の外状態で・・・。

『話し弾んでるでええんやろか?若い男女の話やないな・・・でも二人は楽しそうやし・・・小動物系で株・・・なんや不思議な子やな・・・』

『東金部長と小日向さん・・・お似合いかもしれない・・・』

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ピルルルルルー

「なんや千秋どうしたん?」

「蓬生・・・小日向が面白すぎる・・・」

「うん。いきなり何なん?まぁ不思議な子やな?顔とのギャップ大きすぎるわ・・・しっかりしてるし、節約の為に自炊してるしな?作り置き惣菜常備なんてお母さんみたいやな・・・」

「そやねん・・・俺、派手な女に囲まれすぎてな・・・外食よりちゃんとご飯作れる女の方が好きや・・・それに一番いい所は俺に媚びないとこや!本心で褒めたり貶したりしてくる・・・だいたいの女は好かれたいんかして媚びてくるからな」

「千秋・・・それは女心やから全否定はしたらアカンで・・・」

「でも俺は苦手なんや・・・俺のために合わせてくれてるのかもとは思うけどな・・・」

「小日向ちゃんは正直やな?」

「思った事ポンポン言ってきよる・・・嘘やなく本心で嫌味や無いところがまたええねんな・・・」

「千秋・・・俺もしかして恋愛相談されてるん?」

「・・・・・・そうかもな・・・好きなんかもな・・・」

「千秋は女の子のルックスより才能に惚れるタイプやろ?だからどんな美人さんも籠絡できんのや」

「・・・・・・・・・死神出せるなんて面白すぎへんか?!あんな女、他にはおらん」

「・・・・・・うん。俺は怖いけどな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・デートってどう誘ったらええ?誘われた事あるけど誘った事ないし・・・」

「えーと小日向ちゃんの好きな場所とかに行ったら?まずは音楽と株以外の話しせな・・・」

 

プツ────

   電話を切った。

「千秋がな・・・・・・・・・・・・恋に落ちるのがあの子やなんてな・・・あの子は色恋興味無さそうやから・・・」

   千秋の恋の行方を考えてひっそりと溜息をつく・・・

「応援する方法考えよ・・・」

 

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