ジャイアントペンギンの書庫

保管庫として活用

恋をしよう2

   千秋が分かりやすく落ち込んでる・・・俺と芹沢君が個人的にアプリで転校初日に友達登録していた事実をついさっき知ったからやな。

   どうしようかな・・・悪い事した訳やないんやけど・・・罪滅ぼしにデートでもセッテングしようかなぁ・・・

   でも目立つとこ連れて行ってファンに妬まれたりしたら困るし・・・ちょっと離れた温泉に行こかな?

「千秋~落ちこんどらんと今から気分転換に日帰り温泉に行かへん?運転手するし?」

「コンクールの練習せなあかんし・・・行く気にならん」

   ソファに拗ねたように横たわる千秋・・・俺様傲慢なのに恋って凄いな・・・。

「そうなん?小日向ちゃんは行ってもいいけど千秋と相談するって書いてるけど」

   寝転んでいた千秋がシャキーンと背筋を伸ばし座り直しポケットからスマホを出した。

   最初は緊張しながらアプリを開き次第にニヤケ顔になってきて・・・。

「温泉に行く・・・30分後に小日向のマンション前に迎えに行こう」

「ん?何ニヤニヤしてスマホ見てんの?みーせーてー千秋くーん」

「ダメだ!・・・・・・・・・とりあえずアプリ上では千秋部長に昇格した」

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『おはようございます。蓬生さんが急に日帰り温泉に行くって誘われたのですが・・・千秋部長も行くって本当ですか?』

『行く』

『あっ!蓬生さんにつられてうっかり千秋部長って書いてしまいました・・・すいません!』

『かまわないぜアプリ上だし、ほかの部員に見られてないしな。これからは千秋部長な』

『よかったです。蓬生さんと行くって、ちょっと・・・でも千秋部長と一緒なら安心です』

『蓬生苦手なのか?』

『色気たっぷりで何か・・・ダメかなぁってすいません!蓬生さんには秘密にしてください』

『分かった・・・俺はいいのか?』

『千秋部長は大丈夫だもん。遊んでるとか言われてるけど・・・千秋部長はそんなんじゃないです』

『そんなんじゃないって?』

『怒らないでくださいよ?千秋部長は意外と真面目だなぁって思ってます』

『意外って・・・でもありがとうな』

『ええ?』

『軽く見られるから何や嬉しい』

『関西弁?!』

『30分後に迎えに行くから待ってるんや分かったな?』

『はい、アプリ上では関西弁なんだ・・・』

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   30分後にマンションに迎えに行き、車で一時間弱で温泉に着いた。

   温泉に着くなり蓬生が暑さにやられたわ・・・部屋で休んでるからアンタら若いもんふたりで外湯巡り行っといでと浴衣着て追い出されてしまった。

   気ぃ利かせてくれたんやなと俺は感謝したが小日向は不思議がりつつ蓬生の体調を心配していた。

   外湯巡りって言われても男女別々に入るしな・・・どうしようかなとふたりで歩く・・・浴衣姿の小日向ってめっちゃ可愛くないか?歩くだけで楽しい・・・外湯巡り一ヶ所くらいにして食べ歩きと射的でもしよう。

「小日向?そのせっかくやからこの温泉の名物食べてみるか?俺・・・子供の頃からここ来てるし案内するぜ?」

「・・・・・・・・・するぜって・・・千秋部長違う・・・関西弁なら・・・案内したるわ違いますか?」

「なんでや?関西弁の方がええんか?」

「実はお母さんが関西の出身なんで・・・関西弁好きなんです」

「そうなんか?お前も関西弁喋れるんか?」

「ちょっとだけ・・・つられて出ちゃうような感じですけど」

「あっ、この店のコロッケ美味いで?」

   足を止めてコロッケを2つ買い1つを渡す。

「え?ダメですよ、お金払います」

「いや安いし、かまへんやろ?」

「そんなんあかんもん・・・安いなら自分で買うし温泉代も出してもろてるし」

「────?!」

「千秋部長どうしたん?やっぱり私の関西弁おかしいん?」

   危うくコロッケを握りつぶすところだった・・・心臓に悪い、めっちゃ可愛くないか!小日向の関西弁!

   声も可愛い・・・関西弁の方が柔らかい感じで小日向の声に合ってる気がする・・・千秋って呼んでほしい・・・

「────めっちゃイイ・・・コロッケは褒美や」

   赤くなる顔を見られたくないので顔を背けながら渡す。

「へっ?関西弁喋ったご褒美?なんなん?もう誤魔化して・・・次は私が奢るね?」

   次はソフトクリームだ買いに行こうとしたのを遮るように小日向が前に出て買う。

   小さい身体で前に出るのが可愛い・・・

   買ってニッコリ笑いながらソフトクリームを俺に向かって差し出した。

「豆乳ソフトと黒豆ソフト両方とも豆トッピングしてんけど、どっちがいい?」

   うっ・・・心臓に悪い・・・可愛えええ!しばらく返事に戸惑っていると・・・

「千秋部長?ソフト溶けちゃう早よして?」

「おっ俺は両方食べた事あるからお前が食べたい方選んだらええ・・・豆の味を味わいたかったら黒豆、あっさりが良かったら豆乳やな」

「じゃ黒豆にする、食べた事ないし」

   ベンチに座り、真夏なので急いで食べないととソフトクリームを食べる。小日向も懸命にソフトクリームを食べる・・・食べる・・・舐めるな!舐める仕草が妙にエロく感じてしまう。自分のをさっさと食べてしまい。小日向の食べるのを見ていると小日向が赤くなった!赤い顔で舐めるって・・・はぁー心臓が持たない。

「美味しかった・・・豆トッピング正解やったね?豆だらけなソフトクリームって初めてやし千秋部長食べるの早いし・・・ふふっ楽しい」

「俺も楽しい・・・お前の食べ方リスみたいでおもろいし」

「ええ?酷い・・・千秋部長は身体も大きいし口も大きいからコロッケなんて3口くらいやったやん?ソフトクリームなんて気ぃついたら食べ終わってるし・・・でも男子は食べっぷりがいいのがええよね?」

   その後、外湯を一ヶ所だけ入り射的をして帰った。射的が上手いと褒められてニヤつきながら蓬生が待つ旅館に戻る。

   蓬生は座布団を枕にして寝ていた。旅館の風呂に入ったらしく浴衣に着替えて寝ている。

「蓬生さん・・・爆睡してますね?髪長いの大変そう・・・」

   チラッと小日向が俺を見てふふっと笑った。

「なんだよ?」

「千秋部長と蓬生さんってキャラが違うなぁって・・・ファンが迷うの分かるなぁって、ファンは千秋部長と蓬生さん両方好きで選べない!って女の子が多いみたいですよ?」

「へぇーお前はどっちが好きなんだ?両方か?」

「・・・蓬生さんのキャラ苦手だしキャラ作ってる千秋部長はもっと苦手かなぁ」

「ぷっ・・・小日向ちゃん?キャラ作ってない千秋ってどんなんなん?」

   寝転がりながら蓬生が肩を震わせている。なんか腹立つな・・・

「えっと・・・真面目で口うるさい心配性なお父さんみたいな・・・でもいざとなったら全力で娘を守ってくれそうな理想のお父さんかな?」

「なんでお父さんやねん!そこは嘘でも彼氏とかやろ?」

「ほんまやな・・・ぷっ・・・おかしいわ小日向ちゃん当たってる千秋うるさいおとんやもん・・・ぷっくっくっ・・・」

「あ・・・私、自分がぼんやりしてるし一人暮らしだからお父さんみたいな人が側にいたら安心なかぁって」

「そうなんか・・・小日向!お父さんだと思ってなんでも頼ってくれ」

 

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