ジャイアントペンギンの書庫

保管庫として活用、金色のコルダ3.4の東金千秋と小日向かなでの話しか置いてません·····あとは思いついた事をグダグダ書いてる今日この頃。

恋をしよう11(最終)

   翌日から東金はマンションに来なくなった・・・いつも部活帰りにスーパーに寄ったり女の子同士でお茶したりと帰宅するので先に帰宅した東金が『おかえり。かなで』と迎えてくれてハグしてキスが当たり前の生活をしていた。

そのせいか・・・寂しい・・・凄く寂しい・・・・・・

   一人ぼっちのご飯は寂しくて・・・夏のコンクールの時はお弁当も作っていたけど、学校では人目があるからと新学期以降は弁当の差し入れも控えた。

   だから晩御飯を一緒に食べるのが毎日の楽しみだったのに・・・・・・

「寂しいなぁ・・・」

   寂しさを紛らす為にテレビをつける・・・テレビの音が余計に寂しくさせた。

🎶ピフォン♪

   彼からの連絡だ。

『今、何してる?』

『ご飯食べ終わってテレビ見てます』

『そうか』

『千秋は?』

『俺は親父と話して疲れた』

『お父さんと?仲直りしました?』

   何気ない会話をアプリでやり取りしたが・・・やっぱり会いたい・・・キスをしてハグして欲しい・・・自分ってこんなに寂しがり屋だっただろうか?人間関係においては淡白で誰にも執着しなかった、だからこそ目立ちもしない地味子だったのに・・・・・・

『────会いたい』

   学校で会っても部長と部員、先輩と後輩の関係を守っている。

   それがこんなに辛いとは思わなかった。

   帰宅したら恋人になるからと我慢できた・・・でも今は彼は来ない・・・

『秘密の関係って辛いな・・・』

   その日は疲れ果てるまでヴァイオリンを弾いて夜遅くにやっと眠れた。

   翌朝、小日向が登校した時に遠目に東金が見えた。

   遠目からも分かるキラキラした彼。 

   今日も綺麗な女子2~3人に囲まれている・・・私とは違い大人っぽい綺麗な女子、背の高い彼に似合う長身のグラマラスな女子・・・彼の周りには大人っぽい彼に似合う女子が集まっている・・・私とは全然違うし・・・胸あるし・・・しゅんと遠目に見えた彼を見送った。

   特別進学コースクラスは小夜ちゃんとは違うクラスなので友達はまだ居ない、さらに理系だから女子も少なくて男子が多いクラスだ。

   教室まで歩いていると最近よく話しかけてくる男子2~3人に囲まれた。

   名家、良家のお坊ちゃま達でベラベラと無駄口が多いタイプ。

   感情のこもってない愛想笑いで満足する薄っぺらいお坊ちゃま達・・・家自慢しか出来ない彼らが疎ましくて空いた時間は教室の隅で予習したり楽譜チェックしたりと過ごす。

『次は体育なんだ・・・』

   ぼんやりと窓際の自席に座り校庭をみると同級生達と一緒に校庭に向かう体操服姿の彼が見えた。

『体操服姿・・・・・・新鮮・・・格好良いかも』

   授業が始まった、先生にバレないようにチラチラと東金を見てしまう。

   『今日はサッカーなんだ指痛めないしいいよね。練習してる・・・わぁリフティング上手い・・・足にボールがくっ付いてるみたい。やっぱり千秋は格好良い・・・』

   ちょっとだけ見惚れてしまった、それを咎めるかのように先生に当てられ黒板の数式を解くように言われる。

『はぁー当てられちゃった・・・数式なんて面白くないな・・・千秋とヴァイオリン弾きたいな』

   ブチブチと心の中で愚痴りながら解を導き出し・・・先生には模範解答だと褒められた。

『模範解答なんてつまらない・・・早く部活に行きたい』

────🎶キーンコーンカンコーン

   授業終了のチャイムが鳴った。

   特進クラスは今日は7時間・・・部活は遅くなると伝えているけど・・・早く部活に行きたい、彼の顔を見たいと急いで教室を出ると、廊下に鞄を脇に挟み背中を壁につけて退屈そうに待っていた様子の東金の姿が・・・

「えっ?東金部長どうしたんですか?」

「東金部長じゃない千秋だ。可愛い彼女を迎えに来た」

「かっ彼女って────?!」

   ザワザワと特進クラスの生徒が東金を物珍しい目で見ている・・・

   特進クラスの優等生の坊っちゃん達にとって東金は異質な存在らしくまるで不良が来たような目で見つめている。

「東金だ・・・ピアスなんてつけて・・・ファン食ってるチャラ男だろ?」

「だなー小日向さんに何の用なんだろ?彼女って?」

   皆がザワつく中、東金が爆弾を落とした。

「何、寝ぼけた事言っている?彼女ってお前だろ?」

   真っ白になり固まっている小日向に近付き抱きしめる。

「かなで・・・親父が早く婚約しろってうるさいんだ・・・今度の日曜日、親父に紹介していいか?」

「はっはい・・・」

   小日向は混乱する頭を整理しながらも久しぶりの抱擁にうっとりと身を任せスリスリと胸に甘えてしまう。

『なんかもう秘密とかどうでもいいかも・・・千秋にぎゅっとしてもらうの久しぶり・・・幸せ』

   周囲の特進クラスのクラスメイトはいつも高嶺の花と見ていた清楚な花のような彼女がチャラ男の胸に甘えている様に驚いている。

「こっ小日向さん!こんな男・・・君にはふさわしくないよ!こんな男と付き合うくらいなら僕と付き合ってくれ」

   勇気のある男子生徒が抱き合う二人に向かって言った。

   東金が面倒くさそうに何かを言いかけた時に小日向がゆっくりと振り向き男子生徒を見つめふわっと笑った。

「こんな男?そう・・・私にとって貴方はこんな男より興味無いです。貴方みたいにお家自慢の薄っぺらいお坊ちゃまなんて興味ない・・・私はこの人が好き・・・大好き・・・」

「かなで可愛い事言うな・・・コイツらの言うことなんて気にするな行くぞ」

   二人は手を繋ぎ部室に向かった。

   部員達は手を繋ぎ現れた二人を見て騒然としている。

   土岐、芹沢、小夜は諦めた顔で遠くを見つめ思った。

『はぁ・・・千秋、我慢出来んかったか、まぁ思っていたよりは我慢した方かな、後は小日向ちゃんをどう守るかがな・・・』

『全く堪え性のない方だ・・・卒業後、僕と小夜で小日向さんを守り抜く!』

『まぁ・・・ひなちゃん意外とタフだからライバルも何とかなるかな?それにしても色黒部長・・・ひなちゃん抱っこして・・・・・・羨ましい』

   非難めいた視線を感じて東金は土岐、芹沢、小夜に向かって言った。

「お前ら不満そうだな?」

「せやな・・・」

「どうしたものかと・・・」

「膝抱っこずるい」

「大丈夫だ。かなでは彼女から一気に婚約者になる。彼女なんて不安定な関係じゃなくて、婚約者。かなでに何かあったら東金家を敵に回すようなものだからな?せいぜい親父を利用させてもらうさ」

「あっあの・・・千秋?さっき言ってたお父さんが早く婚約しろとか日曜日にお父さんに紹介したいとか・・・本当なの?」

   管弦楽部の広い部室の隅に置かれた通称〝東金部長専用椅子〟1人掛けの大きめなソファに東金が座り、膝に小日向を横抱きで抱っこしながら話している。その二人に管弦楽部の部員達は戸惑いを隠せない。

『いつからだ?いつから付き合ってる?』

『小日向さんが・・・俺の天使が・・・』

『千秋様が・・・婚約なんて』

『意外・・・可愛い系が好きなんだ・・・』

   あちこちで小さく囁かれている。

   東金が張りのある声で叫んだ。

「お前ら!練習に集中出来ねぇようだから言っておく。小日向かなでは俺の婚約者だからな?!手ぇ出すなよ!!」

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   ぷぅと小日向が膨れている。

   もうお馴染みになった姿を微笑ましく見てしまう。

   今日は婚約の経緯を詳しく話すために帰りに小日向のマンションに寄った。

「かなで怒ってるのか?」

「だって・・・いきなりばらすんだもん・・・びっくりしたし・・・明日から上履き隠されたり体操服ゴミ箱に入れられたり大変だなぁって・・・」

「ぷっ・・・具体的ないじめの想像だな?大丈夫だ、婚約者だからな?次期東金家の妻をいじめるより仲良くした方が得と考える方が多いだろう・・・明日からお嬢様方からのお誘いが増えて大変だぞ?」

「えーやっぱり大変なの?でもお父さんに紹介って・・・それに婚約って早すぎないかな・・・」

   隣に座る東金の目が剣呑としている・・・不機嫌なドス黒い空気がちょっと怖い。

「嫌なのか?」

「ううん。嬉しいけど・・・私なんて細いし・・・女らしくないし・・・飽きられちゃうかなぁって・・・」

   小日向を抱き膝に向かい合わせるように座らせた。

「怒るぞ?言っただろ。愛してる・・・ずっとだ、ずっとお前だけだって」

「嬉しい・・・私も千秋だけ・・・好き大好き・・・愛してる」

   涙ぐみ東金の首にしがみつく小日向を抱きしめた。

   その夜、晩御飯を食べた後に東金家の車が迎えに来て彼は帰って行った。

   これからは親公認になり毎日、学校帰りにマンションに寄って晩御飯を食べた後に車でお迎えが日課になると思うと話してくれた。

   もちろん受験生なので模試とかの都合で来れない日もあるかもとの事だったがそれはしょうがない。

   今度の日曜日はお父さんに紹介してくれて・・・うちの親が認めてくれたら、すぐにでも婚約って・・・お父さんは私のファンらしい・・・ものすごく理想化されていたらどうしよう?ヴァイオリン以外はぼんやりとした地味子なんだけどな・・・

   でも婚約・・・・・・・・・好きな人と将来を約束されて悩むのは贅沢な悩みだと割り切り・・・その日は幸せな気持ちで眠った。

『千秋これからは土日お泊まりするって・・・いいのかなぁ・・・あの雑誌、読まないと・・・絶対に飽きさせないもん・・・』

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   翌日、小日向は早起きしてお弁当を作っていた。

『久しぶりにお前の弁当が食べたい・・・毎日、学食は飽きたし』

   と彼に昨日の帰り際に言われたから。

   公認の仲に浮かれて沢山作りすぎたかも・・・余ったら持ち帰ろうと反省しながら自宅を出た。

   東金が小日向の教室で食べたいと我儘を言ったので小日向は東金を自分の机に座らせて自分はパイプ椅子を持ってきて向かい合わせるように座りお弁当を置いた。

「浮かれてたくさん作りすぎちゃったかも・・・」

「豪勢だな・・・美味そうだ」

   小さい重箱二段詰めの豪華弁当を開き、小皿を出して小さいおにぎり、う巻き卵、蓮根のはさみ揚げ、鶏の梅肉あえ、ナスのシギ焼き・・・東金の好物ばかりを載せ赤くなりながら・・・

「食べて?あーんする?」

   と可愛く首を傾げる小日向の姿にクラスメイトは悶絶し東金を憎しみの目で見ている。

   その視線を感じながらも見せつけるように東金は口を開けた。

「食べさせてくれ」

「はい。あーん」

「うん・・・いつもながら上手い」

   タガの外れた二人を最初は嫉妬の目で見ていた東金ファンも小日向ファンも・・・ついには根負けした。

   なにせ二人ともお互い以外は全く目に入らないようで校内でキスはしないものの・・・校内で出会えばハグ、お昼は手作り弁当をイチャイチャと食べて・・・

『あーん美味しい?』

『かなでの飯が一番美味い』

『やだ千秋褒めすぎ・・・』

『本当だぜ?早く一緒に暮らしたいな』

   等々甘いセリフを吐きまくり・・・ついには根負けしたのだ・・・。

「あー今日も秋空が綺麗やなー」

「そうですね・・・そろそろ神南名物の二人が来ますねー」

「あーあの迷惑行為なぁーついに名物になったんやなぁ・・・」

「睦・・・ひなちゃんは可愛い・・・凄く可愛い・・・あかんのは色黒部長や・・・」

   手を恋人繋ぎしながら神南名物の二人が部活に現れた。

   東金部長は卒業するまで部活に顔出しはするらしい。

   小日向は新副部長として頑張っているが可愛い容姿に似合わず毒舌なところがあり同級生、後輩は東金部長より怖いかもと密かに怯えている。

   特進クラス一位をキープしている才女なのでテスト前には勉強会を開いたり面倒見はいいので嫌われてはいないが・・・

「かなで?文化祭での演目決まったのか?」

 「本当は千秋にソリストして欲しいんだけど・・・二年メインだから・・・チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲がいいかなぁって・・・」

チャイコフスキー、ヴァイオリン協奏曲・・・今から準備・・・難しくないか?」

「大丈夫だよ千秋が鍛えた管弦楽部のみんなだよ?出来るよね?芹沢君」

「はっハイ・・・おまかせください」

「芹沢君なんで執事になっとんの?」

「ひなちゃん・・・ソリストは誰なんかなぁ・・・」

「私にやらせて?千秋が観てるし私がソリストだし・・・みっともない演奏なんて・・・・・・・・・ダメだからね?」

   管弦楽部200人全員が小日向の発言に震えた・・・

   東金と付き合うようになりトラウマから立ち直った小日向は無敵だ。

「かなで?楽しみにしているからな」

   ポッと頬を染める小日向は恐ろしく可愛い・・・が部員達は顔面蒼白だ。

「千秋がいなくても大丈夫って、みんな頑張るよ?ねっ?」

「ハイ・・・・・・・・・死ぬ気で頑張ります・・・」

 

おしまい