ジャイアントペンギンの書庫

保管庫として活用、金色のコルダ3.4の東金千秋と小日向かなでの話しか置いてません·····あとは思いついた事をグダグダ書いてる今日この頃。

王様と私~Happybirthday~

   10月1日は東金部長の誕生日。
   公式ファンブックにも記載されてるし・・・去年は誕生日ライブしてるし・・・・・・きっと今年もするんだよね・・・だってしょうがないもん・・・
『ファンを楽しませるのも務めだからな?』
とかきっと言われちゃうし聞いて言われちゃったらショックだから聞きたくないな・・・
   我儘とか束縛系とか思われちゃうのも辛いし・・・
   でも一応・・・彼女だし・・・・・・東金の誕生日を二週間前・・・
『誕生日二人きりで過ごせるか聞きたいなぁ』と悩む小日向だった。

   東金は東金で悩んでいた・・・自分とは違う頑固で真面目で純真可憐な彼女に告白して初めての誕生日・・・・・・公式ファンブックには俺の誕生日は明記されてるし、ファンに囲まれた折には
『誕生日プレゼントは受付けてくれますか?』
とか・・・
『誕生日ライブやるんですか?』
とか・・・・・・絶対に耳に入ってるはずなのに・・・可愛い彼女から誕生日の話題は振られない・・・。

「なんでなんや・・・俺の誕生日・・・知ってるよな?」

「ん?千秋の誕生日知っとうよ?何年友達やってると思ってるん?」
   部室のソファに突っ伏して、嫌そうに顔だけ横に向けて東金が答えた。

「蓬生やない・・・アイツや・・・かなでが俺の誕生日・・・知らんのか、わざとなんか全く聞いてこんのや・・・なんでやと思う?」

「自分で聞いたらいいんちゃうん?小日向ちゃんは・・・聞き辛いんちゃうかなぁ・・・何となく」

「なんでや!彼氏の誕生日やで?彼氏の!」

「うーん千秋と小日向ちゃん付き合ってるように見えんもんなぁ」

「・・・・・・・・・・・・・・・そうなんか?」

「うん社長と秘書みたい」

「彼氏彼女には?」

「うーん見えへんなぁ・・・」

   東金はずーんと落ち込んだ様子でソファに座りなおし両肘を膝につき頭を抱えている。

   土岐は思った。

『心当たりあるんやな・・・千秋、女の子の扱いに慣れてへんし・・・小日向ちゃんはお金をかけるデートよりもっと簡単に喜ぶ方法あるんやけどな・・・お坊ちゃんには難しいんかな・・・』

「まぁまぁ千秋、後二週間あるしそのうち小日向ちゃんから話あるんちゃう?」

「せやな・・・後、二週間・・・あるよな」

『さっきからよそいきやめて喋っとうし・・・かなり堪えてるんやな・・・小日向ちゃんにもよそいきやめたらええのに・・・』

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   小日向は誕生日の事を言い出せないまま忙しい毎日を送っていた。
   まず、夏休み前に転校したせいで学校生活に慣れない事が多く・・・全学校生徒数2000人、1学年の教室数が18クラス、授業内容ごとの教室移動も学校が広くて覚えるのが大変だった。
   かろうじて成績面では上位の方で授業についていけない事がないのが救いだが、管弦楽部員以外の友達ができ放課後、土日の誘いも増えた。
   放課後は部活があるからと土日はライブのお手伝いや撮影会の付き人でクラスメイトと遊びに行く時間が取れないまま時間が過ぎ・・・気付くと東金の誕生日一週間前になっていた。

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   芹沢も困っていた。
   日に日に機嫌の悪くなる東金に・・・

『はぁ・・・次々に予定を入れて二人で話す時間もデートする時間も無くして・・・勝手に機嫌悪くするのはやめてもらいたいな・・・小日向さんだって困ってるじゃないですか・・・』

   部活が始まり東金部長が部活に久しぶりに顔を出した。
   小日向がまだなのを見計らって芹沢は東金に声をかける。

「東金部長・・・今日は珍しい茶葉が手に入りました。いかがですか?」

    と別室に誘い出す。

「ん?芹沢?茶を淹れるんじゃないのか?」

「女心も分からない部長に淹れる茶なんてないですよ?そんなんじゃ小日向さんに愛想尽かされますよ?」

「うるさい・・・アイツだって男心が分かってない・・・」

「はぁー東金部長は年上でしょ?小日向さんは間違いなく初彼氏・・・しかも彼氏は芸能人かというくらい有名で女性ファンも多く大企業の御曹司・・・なかなか言いたいことも言えなくて寂しい思いをしているんじゃないですか?」

「・・・・・・そっそうなんか・・・そうなんかもな・・・でも俺だって初彼女なんだ・・・」

「それは・・・副部長と俺は知ってますが・・・小日向さんはそう思ってませんよ?それに小日向さん可愛いですから・・・何人かの男子に声掛けられてますしね?」

「俺がいるのに?!」

「だって小日向さんは東金部長の付き人って皆が思っていますからね・・・東金部長が付き人とか地味子とか呼ぶからですよ、反省してください」


────ガチャ

「芹沢君~お待っとさん。小日向ちゃん連れてきたで」

「ありがとうございます副部長。部長はお説教済みですので・・・それでは小日向さんに部長のお相手お願いしますね?」

   小日向はいきなり説明もなく連れてこられてオロオロしている。

「えっと・・・お相手って?」

「珍しい茶葉が手に入ったので部長にお茶を入れてあげて、お茶に付き合ってあげてください。お願いしますよ」

   そそくさと芹沢と土岐が出て行った。
小日向はうーんと首を捻っていたがとりあえずお茶の用意を始めたようだ。 

   香り高い芳しい紅茶の香りが広がる・・・

「ホワイトティ・デライトって書いてますね・・・初めて淹れたので・・・どうぞ」

「ありがとう・・・かなで」

「美味しいですか?」

「美味い、お前も飲め・・・・・・」

「────!甘い・・・甘い茶葉ですね・・・美味しい」

   ふわっと小日向が笑った。久しぶりにこの笑顔を見たような気がする・・・
   そうだな・・・芹沢の言うとおり俺からちゃんと話さないとな。

「かなで・・・恥ずかしいから一度しか言わないからな?」

「はい?」

「俺はお前が初彼女なんだ」

「────ええっ!嘘!!」

「嘘やあらへん・・・だから・・・気が利かない事が多いんやけど・・・何か俺に話したい事ないんか?」

「────!ずるい・・・関西弁なんて・・・私・・・男子と付き合った事ないから・・・色々言って嫌われちゃったらどうしようかな・・・とかでなかなか言えなくて・・・」

「かまへん・・・彼氏は彼女の我儘は聞くもんやろ?」

「うっうん・・・いいのかな・・・」

「お前の我儘なんて大した事ないやろ?」

「えっ?多分一番贅沢な我儘ですよ?」

「ん。言ってみろ・・・」

「・・・・・・千秋さんの誕生日なんですけど・・・一日千秋さんを独占したいなぁ・・・って」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「やっぱり怒ったの?千秋さんの時間は貴重ですもんね・・・ごめんなさい」

「・・・・・・・・・怒ってない・・・困ってる・・・一日独占って?不意打ちや」

   東金が口元に手を当てて困ったような顔をして頬を染めている。

「??プレゼントはコツコツ買ってたんですよ?シルバーアクセサリーとかルアーとかケーキも作れたらなって材料とか晩御飯も千秋さんの好きな物作るつもりだったし・・・千秋さん?」

「・・・ほんまに可愛ええな?かなで・・・一日独占って・・・?」

「できたら10月1日になった0時時点から24時までずっと独占できたら幸せかな・・・0時になったら“お誕生日おめでとうございます”って言って・・・それからずっと一緒にお話したりとかしたいなぁ・・・・・・って・・・でも無理だと思うから朝から夕方位まで一緒にいたいなって・・・」

「無理な事ない」

「えっ・・・いいの?」

   小日向はびっくりしたような顔をした後にはにかんだように嬉しそうに笑った。

「でもお話を一晩中は無理やな?」

「うん・・・眠くなっちゃうよね・・・」

   東金はますます困ったような顔をしている。
   小日向はこんな顔の千秋さんって初めてかも・・・とぽやんとした顔をして東金を見つめていた。

「かなで・・・俺ら付き合ってるんやな?」

「うん・・・そうだけど」

「恋人同士が一晩中一緒にって・・・・・・・・・分かれよ」

   また小日向はぽやんとした顔をしていたが・・・ハッとした顔をした後にみるみる真っ赤になった。

「分かったのか?」

   真っ赤な顔でコクコクと頷いている可愛い彼女を意地悪く見つめ抱き寄せた。

「で?いいんだな?」

「う・・・うん・・・千秋さんの誕生日・・・私に独占させてください」


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   部活終了後、先ほどの会話が気恥しくて東金はスタスタと足早に歩いていた。
   その東金の歩く後をちょこちょこと小日向がついて歩いていると小日向の同級生が通りかかった。

「ひなちゃん?」

「あ・・・サッカーの部活?」

「うん。ひなちゃんは今日も付き人?」

「え?えっと部活終わったから・・・帰るところなんだけど・・・」

   前をスタスタ歩いていた東金がピタリと止まった。

「そうなんだ・・・ひなちゃんちょっと待っててくれる?俺と一緒に帰りにお茶でも・・・それと今度の土曜日一緒に出かけないかい?」

   カツカツカツ!すごい足音と共に東金が二人の間に割って入った。

   東金の背後に薔薇のブリザードが見える・・・弾いてないのにマエストロフィールドが?!小日向は驚きながらも千秋さんすごい・・・と見当違いに感動していた。

「おいサッカー部の二年!」

「何ですか?管弦楽部の部長さん?」

小日向の同級生も負けじと東金を睨み返した。

「俺の目の前でこいつをナンパするな!」

「はぁ?何人も女がいる人に言われたくないですね?僕は小日向さんと真剣交際したいと思っています!」

   バチバチと二人が睨み合う中・・・ぽやんと小日向が呟いた。

「あの・・・今度の土曜日は彼氏の誕生日だから無理です・・・それに彼氏がいるからお出かけは無理・・・」

   真っ赤になって口元に手を当て恥じらう姿がすごく可愛い・・・

「ひ・・・ひなちゃん?彼氏って?」

   チラッと東金を見たあとに腕にそっとしがみついた。

「か・・・かなで・・・」

   可愛い仕草に東金も同級生も心の中で悶え苦しむ。

「東金部長が彼氏なの・・・言っちゃダメだった?」

「そっ!そんな事ない!可愛ええ・・・」

「うん・・・早く帰ろ?千秋さん」

「手・・・繋ぐか?」

「うん・・・嬉しい」

   照れ照れと二人で見つめ合い手を繋ぎ歩き出す二人を芹沢、土岐が見つめていた。

「サッカー部の子、哀れやな・・・それにしても俺らいつまで、あのピュアピュア千秋見守らなあかんねやろうな・・・」

「副部長・・・他人の恋愛のお世話なんかより俺も彼女欲しいです」

「せやな・・・」

「君らには小日向が不幸にならないように引き続き東金を見張って欲しいんだが・・・」

   見守る二人の背後にさも最初からいたかのように如月律が立っていた。

「きっ如月君!いつからいたん?」

「────!僕も気配を感じませんでした!」

「就職活動だ・・・神戸にもいいヴァイオリン工房があるから見学がてら寄ってみた・・・小日向は幸せそうだな」

   娘を見守るかのような慈愛の瞳で小日向を見守る如月。

「ハァハァハァハァ・・・りっ律・・・探したぞ・・・」

「榊?走ったのか?」

「りっ律・・・!お前が急に走り出すからだろ?ひなちゃんに会えたのか?」

「とりあえず幸せそうだった」

   当たり前のようにいる榊に苛立ちながら土岐が声をかける。

「星奏学院の副部長さんは暇しとるんやな?神戸くんだりまで何しとう?」

「・・・・・・律はひなちゃんの事、真剣に心配してたからね。万が一の時はうちの顧問弁護士紹介しようかなってね?」

榊がウィンクしながら土岐を挑発する。

「・・・・・・・・・うちの坊ちゃんはピュアやから小日向ちゃんの事、真剣に想っとうのに無粋な副部長さんやね?」

「・・・あれで?信じられないな・・・調査するか・・・」

「・・・千秋は叩いても埃出ぇへんよ?」

   副部長同士睨み合う二人。
   いつまでも小日向の後姿を見送る如月。
   この場をどう収めようかと悩む芹沢。

    残暑も去りつつあり秋の気配が近づく神南高校 管弦楽部 は今日も平和だった?