ジャイアントペンギンの書庫

保管庫として活用、金色のコルダ3.4の東金千秋と小日向かなでの話しか置いてません·····あとは思いついた事をグダグダ書いてる今日この頃。

猛獣使いと百獣の王

    午前中、土岐は美人教師に教材運びを頼まれ自分の教室に戻る時に小日向ちゃんを見かけた。

   小日向ちゃんは調理実習室に向かう途中だったようだ。

「小日向ちゃん?前に千秋にバススピーカー、プレゼントしてたやん?」

   前から聞きたかったバススピーカーの品名について移動しながら聞く。

「はい。なかなかのスグレモノだったんですよ」

   ニッコリと笑う小日向ちゃん、この笑顔と舞台でのギャップに何人の男が落ちたのだろう?

「俺も欲しいなと思って・・・」

「えっと・・・最近、使ってないからお譲りしましょうか?」

「しゃあないな、千秋は相変わらずカラスの行水なん?」

「うーん・・・と長風呂ですかね?」

「長風呂?千秋が?」

   ちょっと躊躇いながら小日向ちゃんは小さい声で言った。

「・・・・・・一緒に入ってるから?」

「一緒に?!千秋が?小日向ちゃんと?!」

「おかしいですか?仲良くリラックスお風呂タイム?」

「いや・・・・・・・・・千秋、エッチな事せえへんの?」

「大丈夫ですよ!そういう事したら、お仕置きですからね?」

   お仕置きって何やろ?小日向ちゃんが?猛獣使いやし・・・まさか千秋を鞭でバシーン?とか?ないなない・・・・・・・・・・・・・・

   と話したのは先週のこと。

   今日の昼休みも二人は仲睦まじくお弁当を食べていた。

   じっと観察していると千秋が恐る恐るお弁当のオカズを慎重に確認しながら口に運んでいる。

   小日向ちゃんは心無しかぷっくりと頬を膨らませていた。

   ふと千秋が箸を置いてローテーブルに食べかけの弁当を置いてから小日向ちゃんに頭を下げた。

「かなで、ごめん!反省しているから許してくれ・・・」

「・・・・・・しらないもん、お弁当ちゃんと全部食べてね?食べないとお泊まり禁止だもん」

「・・・・・・・・・かなで・・・」

   プイッと横を向く小日向に東金は捨て犬のような瞳で訴える。

「本当に悪かった・・・」

「・・・・・・・・・反省した?」

「ああ、本当に悪かった」

「千秋さん約束③は?言ってみて」

   おかしい千秋が小さく見えて小日向ちゃんが大きく見える?

「約束③次の日が平日もしくは平日のお泊まりは寝不足にならないようにする」

「ですよね?昨日、あんまり寝れなくて私・・・授業中ウトウトしちゃったし・・・千秋さんの馬鹿」

   ぷぅと膨れた小日向ちゃん、ますます小さくなる千秋。

「今日のロシアンルーレット弁当には納豆は仕込んでません」

「・・・・・・・・・そうか」

「食べてね?」

   千秋がホッとした顔でお弁当を食べ始めた。

どうやら小日向ちゃんのお仕置きはお弁当に千秋の大嫌いな納豆を入れることらしい。

小日向ちゃん怖いな・・・・・・とか考えていたら千秋の顔が真っ青になった。

「今日のロシアンルーレット弁当の当たりは甘納豆の揚げ焼売でした。豚挽肉と甘納豆のハーモニー素敵でしょ?」

「かなで・・・不味い」

「お仕置きだからね?今度、安眠妨害したら、また納豆たっぷりピロシキ作るから」

「あれは勘弁してくれ」

   どうやら千秋は小日向ちゃんの寝込みを襲ったようだ。

   今日は月曜日、日曜にお兄さんの婚約者家族との食事会があり千秋は小日向ちゃんとデート出来ないと話していた。

   千秋の様子を想像するに合鍵を使って夜這いしたらしい。

   千秋は普段の俺様ぶりはなりを潜め小日向ちゃんのご機嫌を取ろうと様子を伺っている。

「かなで・・・何か欲しいものないか?詫びに何かプレゼントを」

「ご機嫌取ってもダメだもん・・・事前に言ってくれてたら怒らなかったのに」

   ますますぷぅと頬を膨らませる小日向ちゃん。こういうの痴話喧嘩って言うんやなぁと観察してたら小日向ちゃんと目が合った。

   土岐に対してもプイッと目を逸らす小日向。

「帰ったらお説教だから寄り道しないで真っ直ぐうちにきてね?」

「分かった」

   小日向ちゃんは自分と千秋の分の弁当箱を持って自分の教室に帰って行った。

   ソファで項垂れている千秋に俺は近づき肩をポンと叩く。

「千秋って尻に敷かれてるよな・・・西の覇者東金千秋様がなぁ?」

「うるさい、可愛いからいいんだよ。今はぷりぷり怒ってたけど、昨日はめっちゃ可愛かったんや・・・あれってツンデレってやつなんか?」

「知らんやん?でもファンの前ではやめときや?千秋のイメージ違うし?」

「そこは弁えている、だから頭が上がらへんのや。可愛くて気が利いて・・・・・・はぁ・・・合鍵返してって言われたらどうしよ?」

   何やかんや言いながら幸せそうな東金に土岐は犬も食わないってのはこの事やと思い帰宅した。

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カチャ────

 

   勝手知ったる小日向の部屋に入った。

   部屋の間取りは3LDK一人暮らしには広すぎるマンションは小日向の父親の持ち物だとの事。

   海外を拠点に働く小日向の父親は日本でのビジネス用に東と西にマンションを所有しているらしい。

   たまたまそれが神戸にあり神南高校への転校のきっかけにもなった。

   リビングの扉を開くと小日向がソファに行儀よく座っていた。

   ちょっと膨れているのも可愛いよなと思う俺も大概コイツにやられている。

「千秋さん、私がどうして怒ってるか分かってます?」

   小日向の隣に座り小日向の肩を抱き寄せる。

「嫌・・・突然、ベットに入ったからか?寝不足にしたから?」

「もう!それもあるけど!彼氏と・・・の時って女の子は色々準備がいるのに寝てる時に・・・なんて酷い・・・」

   胸に頭を預け視線を合わせずに話す小日向。

「色々?可愛かったし・・・お前も良かったろ?」

   小日向の顎を取り目を合わせた。

「・・・・・・・・・千秋さんの馬鹿!しっ下着とかいつも可愛いの選んで・・・昨日なんて育乳ブラだったしパジャマも・・・可愛くないのだったから」

   真っ赤になってる小日向が可愛い・・・可愛い下着じゃなかったから拗ねてるのか・・・本当に可愛い女だよな?

「ああ・・・気にするな、脱いだら一緒だろ?」

「もう~!!今から納豆ピロシキ作るから!残したら許さないんだから!!」

   小さい身体を抱き上げ向かい合わせに膝に乗せた。

「お前は何着てても可愛いからいいんだよ、それより育乳ブラって?聞いてないぜ?」

「うっ、友達から聞いて・・・こっそり育乳中なの」

「なぁんだ最近、大きくなったのは俺の手柄と思ってたのにな?」

「もう、ズルい・・千秋さん手、大きいから努力中だったのに恥ずかしい・・・そういうの見られたくないから来る前には連絡して?」

「分かった」

「うん・・・今日は怒りすぎてゴメンね?」

   膝に乗る彼女にチュッとキスをして東金はその日もお泊まりした。

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   今日は朝から千秋の機嫌がいい小さく鼻歌を歌いながら部室に向かっている。

   昨日、仲直りしたんだろうなと考えながら千秋の隣に並ぶと、その後ろをチョコチョコと小日向ちゃんが付いて歩く。

   西の覇者東金千秋に対して控え目に付いていく小日向ちゃん。

   千秋のファンの声が漏れ聞こえてくる・・・

「小日向かなでって地味よね・・・千秋様と付き合ってるなんてデマよね?」

「ヴァイオリンは上手いみたいだけど女としては魅力ないでしょ?」

「千秋様もすぐに飽きるわよ今まで噂になった人の中でも一番ありえないもの・・・」

   みんな好き勝手言ってるなぁ・・・千秋が小日向ちゃんにベタ惚れやったりとか尻に敷かれてるなんて思ってもないんやろうな。

   小日向ちゃんは千秋を崇拝してないから普通の男として付き合っている。

   そういうところも千秋は気に入ってるんだろう。

   ふと千秋の足が止まる。

どうしたんやろ?と思っていたら小日向ちゃんが追いつくと千秋は小日向ちゃんの腰に手を回した。

「かなで、悪かった歩くの早すぎたな?」

   と極上の笑みとともに小日向ちゃんを抱き寄せた。

   千秋のファン達が凝視する中、声にならない悲鳴をあげている者、涙目になる者、逃げ出す者を無視して小日向ちゃんの肩を抱き部室まで連れ立って歩く。

カチャ────

   部長室に入るなりに小日向ちゃんは困った顔で千秋に言った。

「千秋さん・・・あんな事したらファンに恨まれちゃう」

「大丈夫だ親父も公認だしな。これからはパーティーのパートナーもお前に頼むから」

「もう!いつも勝手なんだから」

「俺のパートナーはお前だけだろ?」

   そう千秋が小日向ちゃんに言うと小日向ちゃん嬉しそうに笑った。

「千秋さんたら、ちょっとかっこ良かったし・・・嬉しかったから、ご褒美あげる。週末楽しみにしてて?」

   と小日向ちゃんは背伸びをして千秋の頬にチュッとキスをしてから今週末の定期公演の全体練習に参加するべくホールに行った。

   頬に手をあて千秋は小刻みに震えている。

「ちあーきー?」

「ご褒美って何やろ・・・」

「知らんやん?アンタら俺の前でイチャつくんやめてほしいわ」

「はぁ・・・楽しみや」

   その後、定期公演で小日向ちゃんはソリストとして堂々たる演奏を披露。

   小日向ちゃんは甘やかな演奏で千秋のファン達を実力で黙らせてしまった。

 

   そして週末明け千秋は今日もご機嫌がいい。

週末のご褒美がよっぽど良かったのだろう、浮き足立ち頭からはお花が飛んでいるようだ。

   今日の放課後も俺と千秋が並んで歩き後ろをチョコチョコと小日向ちゃんがついて歩いている。

   定期公演を見に来た生徒達なのか周囲が騒がし気がする。

「あっ小日向さんだ・・・舞台と違って普段は可愛いよな」

「かなで様よ?私達、かなで様の演奏にうっとりしちゃった・・・普段お可愛らしいのに・・・はぁ・・・千秋様が羨ましいわ」

「そうね千秋様が夢中になるの分かるわ・・・」

その中から突然、男子が飛び出してきた。

「小日向さん!!あっあのコレ!読んでください!」

   小日向ちゃんは可愛く首を傾げて差し出された手紙を見つめている。

   前を歩いていた千秋が物凄い形相で小日向ちゃんの元に近づく。

「えっと・・・ファンレター?」

「ちっ違います!らっラ、ラブレター・・・です」

「かなで!」

   大股で近づいてきた千秋に小日向ちゃんはニッコリと微笑み正面から首に手を絡めて抱きついた。

   周囲が大胆な小日向ちゃんに驚き沈黙すると小日向ちゃんはゆっくり振り向き男子生徒に言った。

「ゴメンね?私は舞台以外は全部、千秋さんのものなの」

「かなで・・・」

   千秋が珍しく言葉を失っている。

「だからまた舞台に聞きに来てくれたらその時はあなたのものかもね?」

   ふふっと微笑む小日向ちゃんに周囲の者は男女問わず、みんな落ちてしまったようだ。

『かっかなで様!好きになってしまいそうでしたわ!なんていう小悪魔ぶり・・・私も振り回されたい』

『えっエロ可愛い!東金が羨ましい』

『やだー地味子のくせに~悔しいーでも可愛い!』

   千秋は演出の為か首に手を絡める小日向ちゃんを横抱きにした。

   周囲の者が注目する中、悠然と抱き上げて部室まで歩き出す。

「さぁ俺の可愛いお姫様参りましょう」

   と王子様然とした千秋に小日向ちゃんが微笑んでから千秋の頬にチュッとキスをした。

「キャー!千秋様ーカッコイイ!!」

「小日向さん!!超かわいい」

   周囲は騒然となり後から先生に注意されたのはしょうがない。

   コレを機に二人の仲は学内では知らないものは無く公認のカップルになった。

   千秋は相変わらず小日向ちゃんにお説教されたり時々もらえるご褒美に百獣の王たる牙は抜かれてしまったようだ。

   今もゴロゴロと喉を鳴らして小日向ちゃんの膝枕にご満悦顔で寝転がっている。

「なんだよ蓬生?」

   俺の視線に千秋が反応した。

「いや、幸せそうやなって・・・俺も彼女作ろうかな」

「彼女?ちなみに、かなでは彼女じゃないから」

   小日向ちゃんの膝でとんでもない爆弾発言を親友が言った。

「えっ!千秋?!やる事やって半同棲かってくらいに小日向ちゃんの部屋に入り浸ってるのに?千秋!ソレはあかんやろ?」

   俯いている小日向ちゃんが小刻みに震えているのが分かった、小日向ちゃん・・・泣いてるやん?

「ぷっ蓬生、この前の休みにかなでの両親に挨拶に行ったんだよ。結婚を前提に付き合ってます。大学に入ったら婚約したいってな?」

「もう、千秋さんたら両親に挨拶だけのはずだったのに婚約まで話を進めちゃうから驚いちゃった」

   泣いているように見えた小日向ちゃんは笑いを堪えていただけだったみたいや。

「嫌じゃないだろ?」

「うん、千秋さんモテるから予約しとなきゃね?」

「あほ、それは俺もだ」

   また二人はイチャイチャし始めた。

千秋の考えは分かる、大学に行ったら登下校も別々になり千秋の家が桁違いの金持ちだから金銭目的の誘拐、ファンによる嫌がらせ等を一番心配していた。

   登下校の送迎も東金家の車を使うためには婚約が手っ取り早い方法だったんだろう。

   千秋は用心深い小日向ちゃんの交友関係にある者は全て身体検査済みだ。

   牙と爪を抜かれた百獣の王・・・いや牙と爪を隠した百獣の王が正しいな。

   それを御す小日向ちゃんは牙と爪の存在を知ってるのか知らないのか・・・なんにせよ手強い夫婦になりそうや。

   この夫婦が面白いからやっぱり俺はずっと千秋の隣にいるんやろうな・・・長い付き合いになりそうやと俺はイチャつく二人を盗み見た。

 

 

 

おしまい